【 瘀血 】( おけつ )
 血の体内での鬱滞。血が経脈内で鬱滞したもの、および経脈外に漏れ出て組織間隙に溜まったもの。

《 引用文献 》
①「瘀」は流通しないという意味。「瘀血」は体内の血液が瘀滞し、流れないものをいう。瘀血とは、経脈外に溢れて組織間に溜まった血液(悪血という)運行が阻まれ経脈内に留滞した血液、あるいは器宮内に鬱積した血液(蓄血という)を指す。瘀血は中医学では重要な名詞であり、それが表す意味は非常に多いが、ここでは最も重要でかつ基本となる3つの概念をあげる。ⅰ一種の病理産物である。例えば気虚・気滞・血寒・血熱および外傷などは、すべて血行を悪くして血を凝滞あるいは鬱積させ、それによって瘀血を生じる。ⅱ一種の発病因子である。瘀血が生じると、正常な血液の濡養作用を失わせるだけでなく、さらに全身または局部の血液の運行にも影響し、気機の阻滞・経脈の閉塞・臓腑機能の失調をもたらして、多くの難治病を引き起こす。例えば、外傷性の難治性頭痛などがある。ⅲ一種の病証である。瘀血による病証の症状の現れ方は複雑であるが、次のような共通点を指摘できる。ⅲー1刺痛・固定痛・押えると嫌がる・夜間に痛みが激しくなる。ⅲー2肌表の腫塊、外傷によるものには青紫色の腫脹がみられ、瘀が体内に積すると「○積」を形成し、押えると痞塊に触れる。痞塊は固定していて移動しない。ⅲー3出血、色は暗紫色であり、さらに血塊を伴う。ⅳ顔色は黒く、肌膚甲錯、チアノーゼを呈する。ⅴ舌質は紫暗色、あるいは瘀点や瘀斑がある、舌下静脈の怒張。ⅵ脈は細濇、沈弱または結代など。このほか、久病では瘀を夾むことが多いので難治性疾患は多くの場合、瘀血を重視しながら弁証論治する必要がある。(中医基本用語辞典)
②血液の体内での鬱滞、経脈外に漏れ出て組織間隙に溜まったもの、あるいは血液の運行が妨げられたことにより経脈内に停滞および臓腑器官に鬱積したものを含む。(中医大辞典)