【 天癸 】( てんき )
 @ 人体の生長発育と生殖機能を促進する物質。腎精に由来する。
 A 元陰のこと。
 B 月経の代名詞。

《 引用文献 》
@生殖機能の成熟を促す物質であり、腎気と密接な関係がある。天癸は腎中の精気によって化生し、腎中の精気が一定程度まで充満することにより生じる産物である。天癸の主な生理機能は、人体の生殖機能を促進し維持することである。人体内では14歳(女子)、または16歳(男子)前後から腎中の精気が絶え間なく充満して天癸を産生する。天癸が作用し始めると腎気は旺盛となり、任脈が通じ太衝脈が充満して性機能が成熟する。そして、女子では月経、男子では射精という現象が現れ、生殖能力が備わる。その後年齢が増し中年から老年にいたると、腎中の精気は次第に衰退し、天癸の生成が減少するに従って、男子では精液の減少、女子では月経停止・不妊が起こり、生殖能力が失われていく。このように腎中の精気の盛衰によって、天癸の化生、すなわち生殖機能は影響を受ける。また腎中の精気の盛衰は、精を貯蔵する腎の機能に依存しているため、もし腎の機能に異常があれば、天癸の化生は影響を受け、女性の不妊症や男性の生殖不能などの生殖機能の病変が生じる。このような病証の場合、補腎?精法を用いて治療すれば、良好な効果が得られる。(中医基本用語辞典)
A@男女の腎の精気をさす。『素問・上古天真論』「丈夫二八にして天癸に至る」「女子二七にして天癸にいたる。」A月経のこと。B元陰の別名(中医日漢双解辞典)
B@人体の生長発育と生殖機能を促進するのに必要な物質。腎精に由来し後天水穀精微の滋養を受け徐々に充実する。A元陰の別称。B月経の代名詞。(中医大辞典)