【 血 】( けつ )
 人体の構成や生命活動を維持し脉中を流れ豊富な栄養を持つ赤色の液体。血液のこと。  [詳細参照]


@ 『中医大辞典』
 飲食精微より化生し脈管中を順行する血液。《霊枢・決起》:“中焦受気取汁、変化而赤、是謂血。《霊枢・営衛生会》:“中焦亦并胃中、出上焦之後、此所受気者、泌糟粕、蒸津液、化其精微、上注于肺脉、乃化而為血、以奉生身、莫貴于此。"血は気の推動に頼り全身各臓腑組織に栄養を与え、その正常機能活動を維持している。《素問・五臓生成篇》:“肝受血而能視、足受血而能歩、掌受血而能握、指受血而能攝。"

A 『中医日漢双解辞典』
 血は人体内を流れる一種の物質である。その生化の源は中焦の脾胃にある。その生化の源は中焦の脾胃にある。脾胃で食物を消化し、その精微と津液が接合吸収され、心肺に運ばれ再び肺の気化作用を経て形成される。経脈中を流れ身体各部を栄養し、老廃物排除する。血の作用は全身を栄養するばかりでなく視力・歩行・握力・皮膚感覚などにも関係する。また血の機能が正常に働くには気の働きや気血が心血管内を正常に運行していることが必要である。その色は鮮血あるいは暗赤色、比重は重く臭気が有り、味は鹹で性はよく凝結する。《霊枢・決気篇》「中焦、気を受け取り、変化して赤し是を血という。」《素問》「諸血、皆心に属す」

B 『中医基本用語辞典』
 血は脈管中を運行する赤い液体、すなわち血液のことである。(「霊枢」決気篇、営衛生会篇、「素問」五蔵生成篇)その生成メカニズムは、次のようにまとめることができる。脾胃が水穀を消化し、化生された精微部分や津液などの栄養成分が上方の心肺に輸送され、そこで肺の気化作用により血が生成される。この血は脈管中に注いで全身を運行し、全身の皮毛・経絡・筋骨・臓腑など組織器官に栄養を与える。このような血液の運行は、心・肝・脾などの臓の共同作用によって行われる。つまり、心気の推動・脾気の統摂・肝臓の調節などの作用に依存している。もし血液が不足したり、血液の運行が阻害されると、臓腑の機能活動に影響を与えて、めまい・動悸・不眠・顔面蒼白・四肢無力などの症状が現れる。逆に臓腑の機能が失調すると、血液の生化が不足したり血液の運行が滞る。例えば脾気が不足した場合には、顔面蒼白・全身の疲労無力・女性では月経過多・はなはだしい場合は崩漏などの症状が起こる。

C 『新世紀全国高等中医薬院校規劃教材 中医基礎理論』
 脈中を流れる豊富な栄養をもった粘調性の赤色の液体物質。血液を指す。

D 『普通高等教育中医薬類規劃教材 中医基礎理論』
 脈中を運行し全身を循環流注する豊富な栄養と滋潤作用を持つ赤色の液体であり、人体を構成し人体生命活動を維持する基本物質の一つである。

E 『全国高等中医薬院校外国進修生教材 中医基礎理論』
 赤色の液状物質であり、血脈中を順行し、人体生命活動を構成する基本物質の一つ。

F 『東洋医学概論(教科書)』
 血とは、脈中を流れる赤色の液状物を指している。『素問』:調経論篇に「人の有する所の者は、血と、気とのみ」とあるように、生体内で活動するものとして、気とともに重要なものである。